恋愛 考え方

『DV被害から何故抜けられなかったのか?』 DVと洗脳について、yuzukaとみやめこが対談

2018年1月30日

「なぜ別れないの?」その答えは、心の鎖にあった

yuzuka:私がDV被害にあっていた頃、よく周囲に言われたのは、なんで別れないの?って言葉だったんだ。暴力が始まった頃は、怖くて辛くて友人に相談するんだけど、勿論、「じゃあ別れたら?」って結論にいたるじゃない?

みやめこ:私もそうでした。友人の前でも殴られていたし、アザだらけなこともあったから。当然別れた方が良いって言われます。

 

yuzuka:別れたいって思ったことはあった?

みやめこ:何百回も思いました。殴られるたびもう無理だって……。そのたびに家を飛び出して「もう別れる」って、実際に何度も別れを切り出しました。それでも、どうしても別れられないんです

 

yuzuka:「別れられない」って気持ちは、どこから来るのかな。逃げられないっていう気持ち?

みやめこ:いいえ。違うんです。彼が可哀想だって思ってしまうんです彼には私しかいないのに、彼は私にしかああやって気持ちをぶつけられないのに、そんな人を見捨てられないって……。

暴力ばかりじゃないし、機嫌が良いときは完璧な彼氏なんです。私のことを一番愛してくれているとすら思っていました。

スイッチさえ入らなければ、幸せだから。それなら、わたしが殴られないように頑張ればうまくいくんじゃないか、彼も治ってくれるんじゃないかって、ずっと期待して、ますます言いなりになって……。彼が正しいとすら思えてくる。もうあれは「洗脳」「しつけ」そのものだったと思います

 

yuzuka:ドメスティックバイオレンスの被害者は、トラウマティック・ボンデングという心理状態に陥りやすいといわれているんだけど、まさにその状態だね。

「ストックホルム症候群」なんかもその一種なんだけど、この状態に陥ると、被害者は加害者の機嫌を伺うのに必死になって、自分自身のことが考えられなくなっていくこうなると、ますます相手と離れられなくなっていくんだけど、みやめこちゃんはその時、まさにそういう危険な状態だったんだね。

加害者が怒りを爆発させているとき、被害者はものすごくパニックになります。
その後加害者の、「もうわかった、許してやる」という一言で、瞬時に被害者はほっとします。パニックから解放されるわけです。加害者はそのように目の前で炎をあげるようなこともできる一方、それを一瞬にして消火する力も持っている。

繰り返しそういうことが起こる環境では、被害者は自分が安全じゃないと思い、安全なものにしがみつきたいと思うようになります。そして、火を消せる人こそ、自分にとって安全なものというふうに思ってしまう。
それが、トラウマのある関係性の中で起こる強い結びつき(トラウマティック・ボンディング)です。

『トラウマからの回復』~私らしく輝くために~(DV理解)

みやめこ:それと同時に、執着心が育っていきました。「これだけ我慢したんだから、今さら引き返せない」という気持ちです逃げ出さなきゃいけないのに、今度は寧ろ私が「手放すものか」と、歪んだ気持ちになっていったんです。

今までこんなに我慢したのに……。別れて他の女のところに行って、幸せになられるのが悔しい。他の女になんて彼のことが理解できるはずがない。私しかいないに決まっている……って。そう思っているうちに、ますます別れられなくなっていきました。今考えればあれは「愛」ではなく、「執着」や「意地」だったと思います。

 

yuzuka:他の人と幸せになられるのが嫌だって気持ち、凄く分かる……。これだけ尽くしたんだから、きっと状況は良くなるって、そう思ってしまうんだよね。因みに「他の女のところにいってほしくない」っていうのは、嫉妬心なのかな?

みやめこ:勿論嫉妬心もあります。だけど、中心にあるのはそれよりも「自分以外に彼を理解できるはずがない」って気持ちです。彼が他に女をつくったとしても、失敗するなら良いんです。

とにかく、「私以外ならうまくいった」って認めるのが怖かったそうなったことを想像したら、自分自身を否定される気がして、怖かった。だから、彼が私と別れて、私以外と幸せになるなんて許せなかったんです。

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yuzuka

作家、コラムニスト。元精神科、美容整形外科の看護師で、風俗嬢の経験もある。実体験や、それで得た知識をもとに綴るtwitterやnoteが話題を呼び、多数メディアにコラムを寄稿したのち、peek a booを立ち上げる。ズボラで絵が下手。Twitterでは時々毒を吐き、ぷち炎上する。美人に弱い。

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