某大手企業から受けたセクハラ

仕事 考え方

元風俗嬢である私が、某大手企業から受けたセクハラについての話

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yuzuka

作家、コラムニスト。元精神科、美容整形外科の看護師で、風俗嬢の経験もある。実体験や、それで得た知識をもとに綴るtwitterやnoteが話題を呼び、多数メディアにコラムを寄稿したのち、peek a booを立ち上げる。ズボラで絵が下手。Twitterでは時々毒を吐き、ぷち炎上する。美人に弱い。

これは、某大手お菓子メーカーの部長から、私が受けたセクハラのお話である。

 

この記事を出すにあたり、ふたつのことに頭を悩ませた。

まずは、この記事は本当に出すべきなのか、という点。

そして、もしも出すとしたら、実名を記載するべきなのか、という点。

 

書いては消しを繰り返し、運営会社の代表にも相談した結果、

最終的には【記事は書くけれど、匿名にする】という意向がかたまった。

 

正直、こわい。だって相手は、モンスター級の大企業に務める、「お偉いさん」だからだ。

もらえたかもしれない仕事も、これでパーになる。子会社からの仕事も、二度と受けられないだろう。

それに、これは本当にセクハラなのだろうか?という部分にも、随分と頭を悩ませた。

 

「気にしすぎ」と言われればそうなのかもしれないし、「冗談で言っただけなのに」とべそをかかれれば、

私が悪かったと謝ってしまいそうな気持ちにもなった。

 

実際に体を触られたわけではなかったから、「これは絶対にセクハラです!」と断言できない自分もいた。

だけど、嫌だった。だけど、苦しかった。だけど、悲しかった。

「セクハラもいじめも、された方が『いやだ』と感じた時点で、成立するんだよ」

仲の良い友人のその言葉に、背中を押された気がした。

 

「相手が大手だから」「仕事をもらえなくなるから」「我慢すれば良い」を、

私までもが実践してしまったら、きっとこの世界はずっと、変わらない。だから、書く。

 

セクハラは、犯罪ではない。悲しいことに、法によって処罰することができない。

だからこそ本当は、実名を記載して、社会的制裁をくらって欲しいというのが、心の奥の本音だ。

 

だけど、そんな「恨み」を根っこにおいた言葉は、きっと誰にも届かない。

だから今回は匿名で、個人的復讐の気持ちを排除して。

体験した出来事を、ひとつの現実として、記事にすることにした。

 

私ひとりの話が世界が変えるとは思っていないけれど……。

それでも、少しだけでも。

風向きが変わることを期待して、あの日の出来事を書いていこうと思う。

 

みなさんには、いろんな立場で物事を考えてみてほしい。

「こんなのはセクハラだとは言えない」という人もいるかもしれないし

「記事にするべきじゃない」と言う人もいるかもしれない。

 

だけどあの日会議室にいた私は、確かに、傷ついたのである。

 

大手企業公式Twitterからのフォロ−に、舞い上がる

ある日何気なく、Twitterのフォロワー欄をチェックしていると、○○会社から、

フォローされていることに気づいた。

フォロワー数千人に対し、そのアカウントがフォローしているのは、わずか数十名。

それも、名のある方達ばかりだった。

 

そんな中に自分の名前があったことに舞い上がったのと同時に、

新しく発売されるお菓子のコンセプトがyuzukaにぴったりではないかと思った私は、「もしかしたら何かの縁に繋がるかもしれない」と、自らコンタクトを取った。

「何か、一緒にお仕事がしたいです」

ダメ元で送ったダイレクトメールに、数日後、返事が届く。

 

「本社が〇〇にあるから、一度お話ししにきませんか?」という内容だった。

私自身が元風俗嬢という肩書きを持っていることもあり、そんな私が広告塔になっているpeek a booが、クリーンなイメージのある大手企業から仕事をもらうというのは、非常に難易度が高いことだと自覚していた。

 

実際今までも、企画を上にあげた段階で、関わると会社のイメージを損ねるという理由でNGにされることが、度々あったからだ。

 

「私は元風俗嬢という肩書きもあり、おそらく一緒にお仕事をするのは難しいと思うのですが……」

そう言った前置きに、

先方は「仰る通り、硬い会社であるというのは事実なので、今すぐに実現できるかは分からないけれど、先々一緒に何かができれば良いなと思っています」と答えた。

 

勿論、この時点で「仕事に繋がる!」とぬか喜びをしたわけではない。

フリーランスをしていれば分かるが、「とりあえず会って話しましょう」程、無意味な時間を過ごす可能性の高い誘いはないのだ。

 

それでも、大手企業の本社に招かれたこと、商品開発企画部の部長も同席するとの情報を合わせて、

ほんのかけらでも、「検討してみようかな」という気持ちは持っていただいているのかな……。

と、僅かな期待は持ち合わせていた。

 

私はふたつ返事で快諾して、メディア運営会社の代表とともに、招かれた本社ビルに、足を向けた。

 

「Twitter見て、どんな脳みそしてんだって思ったんだよね笑」

私たちを最初に対応したのは、公式Twitterを運営しているという、まだ入社間もない女性社員だった。

 

部長はトラブルで遅れると前置きをしたうえで、アカウントを開設した経緯や、

どうして私をフォローしたのかという経緯を話してくれて、私からも、どうしてダイレクトメッセージを送ったのか、

どのような仕事をしたいと思っているのかを、口頭で告げた。

 

しばらくの談笑が続いたあと、「これから来る部長は、本当に良い上司なんです」という旨の会話が始まった。

「すごく頭が柔軟な方で、いろんな職種の方の経験を生かそうって、会社の中でも頭の柔らかい人なので、いろいろな話ができると思います。」

「そうなんですね」頷く私に、彼女は更にこう続けた。

 

「私もあんな上司になりたいな。こんな上司がいたら良いよなって思える人です。」

そんなに良い上司であれば、もしかすると前向きな話ができるのかもしれない。

 

約束の時間から15分程たったころ、少しだけ期待が膨らんでいる私たちの席に、そのA部長が現れた。

 

名刺交換で渡した私の名刺を受け取ったA部長は、

「この名刺の形だと名刺アプリに反映されないし、迷惑だよ。社会人でしょ?変えた方が良いよ」と言った。

 

私の名刺は、憧れている大好きなデザイナーさんと、コピーライターさんの手掛けてくださったもので、

この名刺のおかげで会話が弾み、お仕事に繋がることも多かったから、突然それを否定されたことに、驚いた。

 

驚きながら、「すいません。そうですね」と苦笑いする私にしばらく名刺のことで説教をした後、

さてとと椅子にこしかけて、彼は開口一番、こう言った。

 

「Twitter見てて、どんな脳みそしてたら、こんなもんが書けるんだよって思ったんだよね笑」

褒め言葉にも取れるかもしれないが、いきなり現れた男性にニヤニヤしながらそう言われた私は、その時点で少し、嫌な気持ちになっていた。

 

「そうですよね、自覚しています」とりあえずは相手に合わせなければと相槌を打つ私に、「男の気持ちをストレートにね。風俗客の気持ちが知りたいとかだったらいつでも声をかけてよ」

「ありがとうございます」と答えた私を前に、その後唐突に始まったのは、社内不倫の話。

 

名指しでの社内ゴシップだった。

「Bってさ、不倫しまくってるの知ってた?」隣の女性社員に、話を降るA。

 

「え、知らないです。そうなんですか?」と答える女性社員に、Aは笑いながら、こう続けた。

「さわやかな顔して、ヤりまくってるんだよ。お前知らないの?今日ここの席に来ないのもさ、興味がないからじゃないんだよ。こういう変わった経歴とか考えを持った女性を目の前にするのが怖いんだよ。あいつはキラキラインスタ女子みたいなのしか好きじゃないの」

最早この頃には不信感でいっぱいだったが、私も適当に、相槌を打っていた。

 

「あー貴女をTとひとつの部屋に閉じ込めてみたいわ。笑 何が起こるんだろうね。」

もはや答える言葉もなく苦笑いを続ける私を前にそう言ったAは、こう続けた。

 

「援交しましょうよ笑」

言葉を失うとかの次元を、はるかに超えていた。「何いってんだ、この人?」で、思考が停止した。

 

笑うしか無くなる私に、Aはメモを取り出し、こう言った。

「どういう活動してるの?今後の予定も全部教えてよ。チェックするからさ」

 

私は自分の直近の活動を報告し、数日後に控えていた「風俗嬢限定イベント」の話題をあげる。

 

「なにそれ。貴方はどういう立場なの?笑」ニヤニヤしながら訪ねてくるAに、私はこう説明する。

「私は風俗勤務を、断固反対している立場です。私も苦しんだので。だから、辞めたいという気持ちがあるのなら、辞めてほしい。そのための指標となるような活動をしています」

これには横にいる代表も、付け加えた。「そういう社会的な活動にも手を広げていきたいんです」

 

「元風俗嬢」という肩書きで、色眼鏡をかける人が多いのは、分かっていた。

事実、記事がヤフーニュースに載ったり、バズを起こす度、

「肉便器が喋るな」とか「元風俗嬢の分際で」というコメントに溢れかえることが多かったからだ。

 

そして私はそれらに対して、最早傷つかなくなっていた。「伝わらない人には伝わらないよな」と、

とっくに諦めていたのだ。

 

それにそれはあくまで、匿名性の高いネット社会だからこそ起こる出来事で、現実世界でそのような対応を受けたり

悲しい思いをすることは、極端に少なかった。あったとしても、プライベートでの飲みの席。おふざけがすぎた、雑談の中で飛んで来る言葉くらいだ。

 

ただでさえ「こんな世の中」だった。

長らくネットの世界で生きている私は、「Me too」運動も含めて多くの女性が権利を叫ぶのを目にしていたし、

私にお仕事で関わってくださる関係者の方はみんな、私の経歴を笑ったり、茶化したりはしなかった。

 

だから、「ちゃんと話せば伝わる」って、その時もまだ、思っていた。

 

「この先は書籍も出版したり、舞台もプロデュースします」

 

僅かな期待をした私が悪かった。

次に帰ってきた言葉は、「今後の予定ってさ、AVとかは出ないの?」という、半笑いの回答だった。

この頃には、私の自尊心はズタズタに傷つけられていて、「なんのためにここに呼ばれたのだろう」という気持ちでいっぱいになっていた。

 

それでも拒絶できなかったのは、相手が今後取引先になるかもしれない大手企業だったから。そして、「まさかこんな態度をとる人が、今の時代に、それもこんな大手企業にいるはずがない」と、ショックを受け、現実を受け入れられなかったからだ。

 

それから、どこからがセクハラなのかも、正直、分からなかった。

夜の仕事をしていればこれくらいの言葉は日常茶飯事でかけられていたからだ。

 

それでもやっぱり、ショックだった。

 

しばらく同じような話を繰り返した後、「時間だから」と去っていくAは、私たちに向けて、こう付け加えた。

「Twitterとかに、『失礼なこと言われた』とか、書かないでくださいよ」

 

この人は、自覚しているんだ。と、思った。

そして自覚しながらに、そんな言葉を投げかけても良いと判断されたことへの悔しさが込み上げて来る。

それと同時に、「横にいたこの女性社員は、本気でこの人を、良い上司だと思っているの?」と、不思議で仕方なかった。

 

こんなことが、今まで許されてきたのだろうか。

私以外のなんの免疫もない女の子が同じ言葉をかけられたら、どれだけショックを受けるだろう。

それとも、これが「普通」なの?

分からなくなったまま、会社を後にした。

 

数日後にきたメールは、

「いつもは会社の人としか話さないから、変わった人と話せて、息抜きになった。次はお酒を飲みましょう」と言った内容だった。

 

興味本位で。この人は、「元風俗嬢」と話したいから、暇つぶしに私を会社に呼んだのだと理解した。

 

ふつふつと湧いて来る悔しさ

そこから数日間、私は自分の中に湧いた悔しさを、抑えきれずにいた。

 

「おかしいよね?」

相談を持ちかけたのは、同席していた代表。

 

「あれは、男の俺から見てもひどいよ。びっくりした」

同じ意見を持ってくれていたことに、安心した。

 

仕事がなくなるかもしれない、それでも書くべきだと思った。

あの人が黙認されている社会は、やっぱりおかしい。

 

次の日、「ひどい発言をされた」旨をツイートすると、同席していた女社員からメールが届いた。

 

打ち合わせへの定型文的なお礼、そして最後にたった一行、

Ps,失礼な発言があったことをお詫び申し上げます

と書かれていた。私のこの悔しさを、「Ps」で始末しようとされていたことに、また言いようのない悔しさが込み上げてきた。

 

「元風俗嬢だから」「女だから」の弊害。

実はこのタイミングでこの記事をあげたのには、理由がある。

他のなんでもない、今回私がプロデュースする舞台でも、同じような思いを、何度も経験したからだ。

 

「元風俗嬢だからイメージが悪い」というのを理由に記事をすることを断られたり、名前を伏せてくれと言われることもあった。

その度に私は「元風俗嬢ですいません」と謝った。

何をしても何を言っても、「元風俗嬢だから」がついて周る。自己責任とは言えど、悔しかった。

 

それからもっと驚いたことは、風俗嬢である以前に、「女だから」という理由で阻まれる出来事があまりにも多かったことだ。

 

「お前は女やから、男に言ってもらわんと聞いてもらえるわけないやろ」

「若い女やから舐められんねん」

 

勿論そんな相手とは仕事をしたくないので、そういう方との関わり合いは全てお断りした。

よって現在一緒に舞台を作り上げてくださっている仲間の中に、そんなことを言う人は一人もいない。

 

だけど、女というのを理由にきちんと話を聞いてもらえないという現実の多さが、悔しかった。

 

それに私が突っぱねることができたのは、たまたま私がフリーランスだったからで、

きっと会社に勤めている女性たちは、もっともっと、「我慢しろ」を強いられているのだと想像すると、胸が痛い。

 

これからも「女」であり続けるからこそ、私は「女」で戦い続ける

さて、散々悩んだ結果、心を整理できた今、やっとこうして記事にすることができた。

今では落ち着いて言葉にできているが、あの日から数日間、私は死にたくなるくらい、悔しさと戦っていた。

 

この記事を読んで、「そんなことで傷つくなよ」という人がいるかもしれない。

「もっと辛い思いをした人がいるのに大げさだ」と言われるかもしれない。

はたまた、「元風俗嬢なんだから我慢しろよ」と、そうやって、一蹴されるかもしれない。

 

だけど私はここで、はっきりと伝えたいのだ。

「だけど、私は傷ついた。」

 

セクハラやパワハラ、モラハラは、そのボーダーラインが曖昧だ。

だけど「傷ついた」と思った時点で拒否して良いし、訴えて良い。

 

私自身がその前例になりたかった。

 

某大手企業のAさん。

多分見ているでしょう。

私は貴方のような人に頭を下げてまで、絶対に仕事をしない。

今までその権力を使ってどれだけの人をねじ伏せてきたのかは知らないが、貴方の態度や発言が

「素敵な上司」のとるものではなかったということを、ここで伝えておく。

 

そして12月4日からの舞台は、そんな「元風俗嬢」で「27歳の女」の、挑戦でもある。

過去も、性別も、関係ない。誰もが平等に、したいことに挑戦できる時代であるはずだ。

 

実際にそんな奴らを差し置いたって今、たくさんの人が、まっすぐに私に向き合ってくれている。

 

だからきっと、成功した暁には、こんな乾杯の音頭をとりたい。

 

「女であることに、乾杯」

私は「女」とか「男」とか。そんなものは関係なく、誰かを平気で傷つける人のことを、絶対に許さない。

 

yuzuka

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