考え方

子どもを殺す母親の話

「こどもを、殴ってしまった」

泣きながら電話をかけてきたのは、私と仲の良い友人だった。

 

今にも吐きそうなど息を乱して、彼女は私との電話越しに泣いた。

 

虐待のニュースが出てくるたびに、虐待していた母親、もしくは父親のそれを黙認、加担した母親の異常性が取り上げられる。

 

どうして愛する我が子を傷つけるのか。

どうしてそんなに近くにいたのに手を差し伸べて逃げられなかったのか。

 

よりにもよって、手をあげた男の機嫌をとるかのように、一緒になって手をあげているケースすらある。

 

彼女達はそろってボサボサに乱れた顔で法廷に立ち、「今でも子供を愛している 」、

「助けてあげたかったが逃げられなかった」等と話す。

 

そんなニュースを見るたびに誰もが持つであろう感情は、「そんなわけがない」という、怒りと悲しみと、やるせなさだと思う。

どうして愛するはずの我が子を殴るのか。

 

可愛いはずの我が子が目の前で苦しんでいるのに、どうして手を差し伸べることが、一緒に逃げ出すことが、できなかったのか。

だってあなたは大人でしょう。母親でしょう。縛り付けられていたわけでもなかったでしょう。

 

数秒、数分、相手がいないそのほんの少しの時間に子供を抱いて逃げ出すことが、誰かに相談することが、本当にできなかったの?

 

「私ならちゃんとできる」

きっと誰もがそう思う。そして自分の子どもを抱きしめながら、苦しくなるニュース番組のチャンネルを変えたりするかもしれない。

 

「私たちとは違う世界だ」「異常者のやったことだ」と、別の世界との繋がりをぷつんと閉ざして、見て見ぬふりするかのように。

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yuzuka

作家、コラムニスト。元精神科、美容整形外科の看護師で、風俗嬢の経験もある。実体験や、それで得た知識をもとに綴るtwitterやnoteが話題を呼び、多数メディアにコラムを寄稿したのち、peek a booを立ち上げる。ズボラで絵が下手。Twitterでは時々毒を吐き、ぷち炎上する。美人に弱い。

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