恋愛 考え方

美醜

「悪かったよ」

何も無い部屋に、何も無い言葉が

ただ無造作に転がされた。

 

私はまた、いつもと変わらず

うっすらと作った笑顔で「いいよ」と答える。

 

本当は、本当は。

 

心臓のあたりがぎゅっと傷んで。

涙が鼻の奥まで染みてツンと痛くて。

今にも泣き出しそうだった。

 

「どうして?」とか「なんで?」とか

聞きたいことはたくさんあったし。

 

「ああじゃない」「こうじゃない」って

伝えたい言葉もたくさんあったけど。

 

今にも飛び出しそうな「そいつら」を

ぐっと閉じた口の中で、音もなく咀嚼して

乾いた唾で、ぐっと飲み込んだ。

 

だって私は綺麗じゃない。

 

あなたに文句を言えるほど

出来た女じゃないし、

よく考えてみたら、

私にも悪いところがあったのかもしれない。

 

テレビでは、ショートケーキのように

デコレーションされた「女」達の

「結婚生活」の特集が流されていた。

 

「なにをしても許してくれるから、

ついついワガママを言っちゃうの」

 

小さな口から、鈴のような声が零れる。

 

ほら、美しければ大切にされるんだ。

 

陶器のように真っ白な肌のその「女」達は

その肌に相応しく、

割れ物を扱うように大切にされる。

 

私の肌は透き通っていないし、

足もこんなにまっすぐ伸びてはいない。

 

目は、ものを見るには充分だけど、

顔を飾るには少し足りない大きさだし、

鼻だって無造作につけられた野菜みたいだ。

 

そう、私は美しくない。

「だから、大切にされないのね」

つい口から漏れた言葉にビクリとする。

 

「なんか言った?」

とっくに私に興味を無くした彼は、

携帯の画面に目を落としたまま、尋ねる。

 

「なんでもないよ」

私はまた、笑顔を作る。

 

yuzuka

The following two tabs change content below.
アバター

yuzuka

作家、コラムニスト。元精神科、美容整形外科の看護師で、風俗嬢の経験もある。実体験や、それで得た知識をもとに綴るtwitterやnoteが話題を呼び、多数メディアにコラムを寄稿したのち、peek a booを立ち上げる。ズボラで絵が下手。Twitterでは時々毒を吐き、ぷち炎上する。美人に弱い。

おすすめ記事一覧

1

デートだけで何十万円という大金をもらえる。 風俗のように、不特定多数と関係を持たなくても良い。   そんなタレコミで、近年「パパ活女子」と言われる女達が、SNSを中心に、どっと活動的になった ...

2

お金がないのに子どもを産む。 その選択を、どう受け取りますか?   皆さんは、痛快!ビッグダディというテレビ番組を覚えているでしょうか?   8年にわたり、ある大家族に密着した、ド ...

3

「だんだん洗脳されていたと思います。私が殴られるのは、不安にさせた私が悪い、私のことを好き過ぎてたまらないからこんなことをしてしまうんだ。って……。」(みやめこさん) 近日話題になった「#mee to ...

4

「セフレの気持ちが分かりません」 私の元に寄せられる相談は、ほとんどこのひとつの質問にまとめられると言っても過言ではない。   「セフレの気持ちが分からない」 付き合っていないのに身体の関係 ...

5

こんにちは!エロインフルエンサーのねこです。 最近、女性向け雑誌をはじめとする各メディアにて、セックスに関する話題をよく目にします。   その影響もあってか、彼氏やセフレとのセックス事情につ ...

-恋愛, 考え方
-, , ,

Copyright© ぴくあぶ - peek a boo , 2020 All Rights Reserved Powered by takeroot.