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思ってたんとちがーう!パートナーに感じた「期待はずれ」はどう対処する?

思ってたんとちがーう!パートナーに感じた「期待はずれ」はどう対処する?

思ってたんとちがーう!

いきなりなんだと思われたかもしれないが、これはお笑いコンビ・笑い飯の西田さんがM-1グランプリ決勝で放った台詞だ。

あれはたしか、2008年のことだったと思う。

 

M-1はファーストラウンド上位3組が最終決戦で戦うのだが、笑い飯はファーストラウンド3位で最終決戦進出にリーチがかかっていた。しかし、最後に敗者復活枠から登場したオードリーに抜かれて4位になり、敗退。

そのとき、アップになった西田さんが言ったのが冒頭の「思ってたんとちがーう!」だ。もちろんウケを狙った間と表情だったけれど、本心でもあると思う。

 

……だよねぇ。

最終決戦進出どころか、優勝するつもりでいただろう。そのために一年間、頑張ってきただろう。なのに、4位。そりゃあ、思ってたのと違うよね。悲しいし悔しいし、残念だよね。

 

私はこの台詞に妙に共感した。

「思ってたんとちがーう!」には、誰かを責めるニュアンスがない。ただただ、期待どおりにならなかった現実へのがっかり感からきた叫びだ。だからこそ、好意的に受け止められる。

もしもこれが、自分の期待どおりの評価をしてくれなかった審査員を責めるような台詞だったら、私はどう思っただろう?

 

「自分の期待どおりにならなかったからって、他人を責めるのはおかしいよ」

そんなふうに思ったかもしれない。

 

彼のリアクションが期待と違ったこと

私はたびたび、無意識のうちに期待をしては、期待はずれにがっかりする。

そういうとき、「思ってたんとちがーう!」と叫んだ西田さんを思い出す。

 

だいぶ前の話だけど、私は夫(当時は彼氏)の誕生日にインド綿のパンツをプレゼントした。念のために書くと、ズボンのほうのパンツだ。

当時の彼はバックパッカー旅が好きで、よくインドやネパールで買った服を着ていた。だから、エスニックなパンツをあげたら喜ぶだろうと思ったのだ。

プレゼントを受け取った彼は、包みを開いて「ありがとう」とニコニコしていた。

 

しかし。

次に会ったときも、その次に会ったときも、私があげたパンツを穿いていない。

 

「あのパンツ、なんで穿かないの?」

と聞くと、彼は申し訳なさそうに

「あれ、なんかゴワゴワしてて動きにくいんだよね……」

と言った。

 

えー!

そのリアクション、思ってたんとちがーう!

私はついつい食い下がってしまった。

 

「デザインも色もカッコイイじゃん。気に入ってくれると思ったのに……」

「サキちゃんはそう思うんだろうけど、僕はそうは思わないんだよ」

そう言われて、ハッとした。

 

私は、彼がプレゼントを気に入ってくれることを期待していた。だけど彼は、プレゼントが気に入らなかった。それだけのことだ。

なのに、私は彼に「プレゼントを気に入ること」を押しつけてしまった。

気に入るかどうかは彼の自由であり、私が強制することではないのに。

 

逆の立場だったらどうだ。着心地が好きではない服を贈られて、「気に入ってよ!」「着てよ!」と言われたら、私はどう思うか?

やっぱり、「気に入るかどうかは私の主観だ。あなたが決めることじゃない」と思うだろう。

 

私、こうやって相手に期待を押しつけたこと、今までたくさんあったんだろうなぁ。

お恥ずかしながら、私はこのときはじめて、自分が彼に期待を押しつけていることに気づいた。

 

誕生日にひとりぼっちでお腹を空かせた日のこと

そもそも、はじめから相手に期待をしなければ、期待はずれに落ち込むこともない。

……とわかっていても、期待してしまうクセはなかなか直らない。インド綿のパンツ事件から10年が経った今でも、私は夫にあれこれと期待しては、がっかりしてしまう。

 

ここ数年で最大の期待はずれは、一昨年の私の誕生日だ。

その日、私は風邪で寝込んでいた。夫は3時くらいに「ちょっと買い物に行ってくるね」と言い残して出かけた。私は、スーパーに夕飯の買い物に行ったのだろうと思っていた。

 

しかし、待てども待てども夫は帰ってこない。夫はスマホを置いていったため、連絡もつかない(私もだが、ちょっとそこまで程度の外出にはスマホを持ち歩かないのだ)。

とうとう、夜になってしまった。お腹が空いたけど、熱でぐったりしているので夕飯を作る元気がない。

 

「お腹減ったよぅ……」

涙が出てきた。誕生日に空腹で泣くって、なんだそりゃ。

私はてっきり、夫が夕飯を作ってくれるものだと思っていた。私たちは共働きなので、そのときに手があいているほうが炊事をする。今日は私が寝込んでいるから、作ってもらえると期待していた。

 

それなのに。

なんで、私はひとりでお腹を空かせてるんだ。思ってたんとちがーう!

布団の中で泣いていると、夫が帰ってきた。時刻はすでに9時だ。

 

「ただいまー。あれ? なんで泣いてるの?」と、キョトンとする夫。

「お腹減った」

「そっかー、ごめんね。プレゼント探してたら遅くなっちゃって。はい、これ」

夫が差し出した包みを開けると、革製のブックカバーだった。

 

「……ありがとう」

夫いわく、私が欲しいものを言わないので、「今年はプレゼントなしでいいか」と思っていたらしい。だけど、当日になって「やっぱりプレゼントをあげたい!」と思い立ち、探しに行ったのだそうだ。

その気持ちはとても嬉しいし、ありがたい。

 

だけど、私はプレゼントよりも一緒に夕飯を食べたかった。ご馳走じゃなくていい。スーパーのお惣菜でいいから、誕生日の夜を一緒に過ごしてほしかった。風邪を引いているときに、ひとりにしてほしくなかった。

夫が私にしてあげたいことと、私が夫にしてほしいこと。

 

何年一緒にいても、ちゃんと言わなきゃズレてしまうものなんだなぁ。

 

もしも期待しちゃったら、相手に伝えたほうがいい

やっぱり、夫は夕飯のことをまったく考えていなかった。私が「スーパーでお惣菜買ってきて」と頼むと、彼はすぐに買ってきてくれた。

それを食べながら、私は夫にしてほしかったことを伝えた。

 

そして、「今度からはお互い、相手にしてほしいことを事前に伝えようぜ」というシンプルな結論に至った。

相手に期待せずにいられるならそれがベストだけど、どうしても期待してしまうなら。せめて、その期待を相手に伝えたほうがいい。伝えることで、がっかりを回避できる可能性は上がると思う。

 

それでも、がっかりしてしまったら?

別れるか、西田さんのモノマネで「思ってたんとちがーう!」と言ってふたりで笑うか、どちらかを選ぶと思う。

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吉玉サキ

吉玉サキ

北アルプスの山小屋勤務を経てライター・エッセイストに。好きな執筆ジャンルは季節労働と生きづらさ。だけどなぜか恋愛コラムを連載することに。お笑いが好き。

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