このアカウントを立ち上げて以来
美容系の質問に次いで多いのが
この系統の質問である。
「風俗で働こうと思うのですが…」
私はその質問に悲しくなりながら、
繰り返し、同じような返事を返す。
私のアカウントを見て「働いてみようかな」と思ったのであれば、とんでもない情報を発信している気がするし、それは私が伝えようとしている事実から大きく逸脱している。
答えはハッキリしている。
悩めるレベルであれば、風俗で働くべきではない。
私は度々風俗嬢であることに誇りを持つべきではないと発信し、その言葉は時に人を傷つけ、批判にも繋がった。
それでも私は声を大にして、同じ考えを発信していきたいと思っている。
「風俗嬢」という仕事は、恐らく足を踏み入れていない人のイメージよりもうんとホワイトで、開けている。
今どき頬に傷の入ったガタイの良い店長に
薬を与えられながらフラフラになるまで
働かせられたり、汚いタコ部屋のような
待機室で仕事を待ったりもしない。(これはお店や地域によりけりなので一概には言えないが)
ある程度のレベルの風俗店にいけば、
スーツをきた小奇麗な従業員がいて、へりくだるような態度でこちらの御機嫌を伺う。
個室になった待機室にはwi-fiが完備され、
テレビやパソコン、お菓子にフリードリンク。ケーキまで用意されている場所もある。
接客は確かに辛いが、
1人をこなすことができたのなら、
おそらくすぐに慣れるだろう。
では、どうして働くべきではないのか?
それほど恐ろしい場所でもない。
給料は一般的なOLの給料と比較にならないほど高額。
それでも、働くべきではないと声をあげる理由。
それは、「平気になってしまうから」だ。
風俗店で働いた経験のない女の子に、今から街ですれ違う人全員と、お金がもらえればキスができますか?
という質問を投げかけたとしよう。
おそらくほとんどの回答が「NO」
になるはずだ。
しかし風俗嬢に同じ質問をしたらどうだろう。
特殊な店舗に在籍していない限り、全員の答えが「YES」だ。
彼女達に違いがあるのか。
風俗嬢になる女はそもそも頭がおかしくて、考えが逸脱しているのか?
違う。
風俗嬢になる前の彼女達に同じ質問を
投げかければ、ほとんどの回答が「NO」になるはずだ。
彼女達は初めからその答えに「YES」と答えていたわけではなく、
風俗嬢になって働き、「YES」と答えるようになったのだ。
全ては慣れだ。
身体を売ることの抵抗は、
驚くほどすぐに薄れていく。
最初こそハードルは高いが、
1度体を売ってお金を手にしてしまえば「こんなことでこんなに大金が稼げるの?」という感覚に陥る。
どんどん平気になり、
それと同時に感覚が鈍っていく。
時給1万円が当たり前になり
会った瞬間に品定めされるのが当たり前になり
人の前で裸になることや、
結婚指輪のついた男に身体を舐め回されること、そのあとにお互い裸で、子どもの話をきかされたりすることも当たり前になる。
そして、戻れなくなる。
週5日拘束されても1日の給料にも満たない普通の仕事が馬鹿らしくなり、耐えられなくなる。
掛け持ちで始めた副業のはずが
「昼職で働いている時間に働けたらもっと稼げるのに」 という考えに支配されていく。
男は浮気や不倫をするものだという考えに偏ってくる。
全ての男に尊敬の念を抱けなくなったり、男友達にも性的視線を感じ、少しの好意を示す言動にも不快感を覚えるようになる。
なによりも、愛する人以外に身体を許すことが当たり前になり、キスやsexに特別な意味を感じにくくなる。
こうなると、もう元の貴女には戻れない。
「平気になってしまった」貴女は、平気でなかった頃の自分を羨むだろう。
私は、身体を売ることが悪いことだとは思わない。
借金に溺れたり、今すぐお金が必要で
そのお金がないと命の危機に面しているのなら風俗で働くことを推薦する。
それでも決して「楽だから」「稼げるから」なんて
理由では、安易にこの道を勧めない。
そして自分自身もつねに「こんな仕事は早く辞めなくては」という思いを持ち続けるようにしている。
それは、自分自身を守るためだ。
「風俗嬢を見下している」
「仕事を冒涜している」と言われても構わない。
私は一生、この仕事に誇りを持たないし
「やってよかった」「社会に認められるべき」
だなんて感覚も振り払うつもりでいる。
この仕事は自分を傷つける。
世間に認められるべきではないし、つねにアンダーグラウンドな世界の中で「最後の綱」として存在すべきなのである。
「死ぬか、風俗するか」
この問いに行き着くまで、私は風俗を勧めない。
これは、なんとなくお金欲しさで「数日だけ」と言ってはじめた私が
5年以上もこの業界をぬけられずにいる経験に基づいた意見だ。
毎日辛くて泣く事はなくても、心に沈殿した「拭えない感覚」は
時々私の気持ちを痛いほどに締め付ける。
「平気になること」ほど、
恐ろしいことは無い。
yuzuka
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