はじめまして、ライターをやっているくるみです。
さっそくですが、みなさん。男女の友情って、結局のところあるのでしょうか?ないのでしょうか?
今回はそんなお話です。
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そういえば、こんなことがあった。
私は大学でたまたま男の子が多い学部だった。
授業で隣になったかなにかがきっかけで、自然と話すようになった男の子がいた。
彼には高校のころから3年ほど付き合ってる他大学の彼女がいて、野球部の彼は忙しいながらも彼女のことを大事にしている印象だった。
「課題がわからないから教えてー」とか、「テストの資料足りないからコピーさせて」とか、なんだかんだやり取りをする。
そのうち、
「厳しい野球部だから授業は絶対に遅刻欠席しないけど、勉強が苦手な彼」と、
「ひとり暮らしだから朝が苦手で授業に行けないけど、勉強が苦じゃない私」
は協力しながら単位をとるようになっていた。
目次
本田圭佑を尊敬する野球部の気の合う男の子
お互いのことをあだ名で呼び合って、野球部である彼の親友の男の子の家で3人でテスト勉強をするようになっていた頃、彼が彼女と別れた。
きっかけは、彼女が留学中に出会った韓国人と浮気したことらしい。
「そんなやつだと思ってなかった」と、あっけらかんと伝えてくれた彼の様子を見て、私も「あんなに仲が良かったのに」と驚いた。
野球部で頑張っていて本田圭祐を尊敬してる彼は、とてもとても前向きな人だったから「別れたんだ」と明るく言ってはいたけど、内心とてもつらかっただろう。
それからというもの、彼にも私にも恋人がいなかったし、気になる人がいれば、なんとなく話題に上がっていた。オープンに、恋愛についてでもなんでも話していた。
わたしたちは、すごくすごく気が合ったんだと思う。
彼が、尊敬する本田圭祐のまねをし始めたら、私は動画を撮って、NHKのドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』みたいに質問してふざけてたし、毎年、夏になると野球で真っ黒に肌が焼ける彼をいじっては遊んでいた。
大学の中でも一段と厳しいことで有名な野球部で必死に頑張っている彼を見ていると、私もアルバイトや勉強をちゃんとやらなければいけないなと、彼の存在が頑張る理由になっているときもあった。
ポジティブな彼が頑張っている姿は、一緒にいると「私も目の前のことを頑張ろう」という気持ちにさせてくれた。
彼が部活の先輩にすごく飲まされて終電を逃して私の家に来ても、さらにむかえ酒を勧めて朝までダラダラ飲んでいることもあった。
同じ部屋で寝ることはあったけど、手をつなぐこともなければ、キスをすることももちろんなかった。
彼と一緒にいて恋心のようなドキドキは、まったくなかったのだ。
「親友といるよりリラックスする」 突然の“絶対友達宣言”
「おれ今びっくりしてる」
彼がふと言った。
その時私たちは、彼の実家にたまたまふたりきりでいた。
4人ほどで彼の実家で朝まで飲んでいたのだが(ちなみに彼の実家には、この日家の人がいなかった)、みんな「用がある」と言って先に帰ってしまった後だった。
「なんで?」と聞くと、帰ってきた答えは
「女の子とふたりっきりなのにひとつも緊張してないし、なんならカズキ(彼の親友)といるよりリラックスしてるわ」
私に“絶対友達宣言”をしてきたのだった。
「ああ、お互い同じ気持ちなんだな」と、とてもとても気持ちが晴れやかになった。
男の子が多い学部に入学して男の子と接する機会が増えた私にとって、恋愛対象だった男の子たちが友人の対象になることが増えていた。
学部内で彼氏なんてつくってしまったら面倒くさいと思っていたため、身近な友達とそういう関係になることはなるべく避けてきたし、さっぱりとしていた性格の私はそういう対象に見られることも少なかった。
ただ、学部の外の男の子、例えば友人の紹介で出会った男の子とかには口説かれることもあった。
男の子と仲良くなればなるほど、向こうはそういう好意を寄せてくる。
友だちだと思ってた男の子に言い寄られるたびに、「やっぱり男女の友情ってないのかもしれないな」と切ない気持ちになっていた。
そんな私だったからこそ野球部の彼の“絶対友情宣言”に、安心できる私の居場所を見つけた気分だった。
そんなこんなで大学を卒業するまで彼とはつるんでいたし、大学生活の思い出を振り返っても登場頻度は高い。
そんな彼が卒業する間際になって、ちらっと言ったひとことがあった。
「お前に最初会った時、当時付き合ってた彼女と雰囲気が似ててドキドキしてた。好きになったらどうしようって思ってたわ」
なんだそれは!!!!!! んなこと思ってるなんて知らなかったわ!!!!
てか、彼女いるのにそんなこと思ってたんかい!!!!
とまあ、驚いたけれど、それも過去のことということで笑い話になっていた。
“絶対友達宣言”があったからこそ、「気持ち悪い」なんて引いたりせずに、くすぐったいような気持ちになった。
彼に対する気持ちも、私たちの関係も全く変わらなかった。
スーツを着こなす大人の男になった“絶対友達”の彼を見て
就職して、彼は転勤で北海道に行ってしまった。
実家は東京にあるから、たまの帰省で会っていた。大学時代の友人と4人で。
スーツを着てビシッと決まっている彼を見たときドキッとした。
大人の世界に入って、飲み会での振る舞いも女の子への気遣いもちょっとうまくなったりして、仕事の話をポジティブに話してて。
大学のときより彼がちょっと遠くに感じた。
「荷物もつよ」
そんなこと、あの頃は言ってなかったじゃないか。
なんだよ、その色気と余裕は。
お酒も弱かったはずじゃない。
なんで私の方が先に酔っぱらってるんだよ、おかしいなぁ。
そのときに、相席屋で出会った女の子と付き合ってるというエピソードを聞いて、私は恋する間もなく失恋したのだが。
大手電機メーカーに勤める彼が相席屋で出会った女と付き合うのか…と最後は拍子抜けしたし、彼とはまだまだ友達でいられそうだなと安心した。
男女の友情って成り立たないっていうけど、そんなことはない。
「これは、男女の友情だ」とはっきり言えるような関係が、私に安心感や頑張る理由を与えてきたのは確かなんだから。
きっとこれからも、尊敬できるポジティブな彼と釣り合う友達でいられるように、“絶対友達宣言”の彼に胸を張れる人生を送れるように、彼という存在は私に頑張る理由を与えてくれるだろう。
何のために頑張っているのかわからなくなる時があったら、彼の顔を思い出してちょっとだけ頑張ってみよう。
頑張る理由は、ちょっと遠くにいるあの人でもいいのかもしれない。
くるみ
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