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【前編】「黒人の子ども達が、警察官に撃ち殺されるんです。まるでおもちゃみたいに」歌手のAISHAさんが、人種差別について語る。《English translation》

【前編】「黒人の子ども達が、警察官に撃ち殺されるんです。まるでおもちゃみたいに」歌手のAISHAさんが、人種差別について語る。《English translation》

私達が知らない場所で、まだ人種差別は起こっている。その事実を受け止めてほしい。

yuzuka:数々のインタビューを読ませて頂くたびに、お父様に「白人ミュージックは禁止だ!」と言われて育ってきたという言葉を目にしたのですが、お父様の言葉は、そういう社会背景とか、AISHAさん自身が苦しんでいるということへの配慮もあったんでしょうか?

AISHA:そうですね。それに、大人になると、白人の音楽ばかりがかかっている環境になって、そういう音楽しか耳には入ってこなくなっちゃうから……。だから、せめてベースとなる部分は、自分達のルーツを大切にして欲しい。そういう音楽の良さも理解していてほしいってことを、教えたかったんだと思います。

 

yuzuka:なるほど……。お父様自身も、人種差別を受けた経験があるんですか?

AISHA:はい。実際、アメリカに現在も起こっている問題として、白人の警察官がたくさんの黒人を撃ち殺してしまういう事件が、それはもう……たくさん起こっているんですね。【引用:大きな話題を呼んだ黒人少年射殺事件(wikipedia)

実際私のお父さんも幼い頃、何回も警察から逃げなきゃいけなかったことがあったんです。想像ができないかもしれませんが、まるで遊んでいるかのように、黒人の子どもを撃ち殺すんです。正義の味方であるはずの警察たちが、守るどころか、刃物を向けてくる。

 

yuzuka:そんなに身近で……?想像がつかない……。

AISHA:嘘でしょ?って思うことが、実際に起こっているんです。私も日本に住んでいるから「何言ってんの、そんなわけないでしょ。警察官の人がそんなことするわけないじゃん」って思っていたけど、実際向こうにいると、どんどんそういう話が暴かれて、ニュースを通して自分のもとに飛び込んでくるんです。ニュースだけじゃなくて、身近な友人や従兄弟からも、そういう目にあった。こういうことがあったって話をたくさん耳にして……。

そんなに酷いんだって思うと、自分のお兄ちゃんがアメリカにいる時も、本当に不安で心配でした。

yuzuka:そういう事件は、今も起こっているんですか?

AISHA:勿論です。ずっと、ずっと、起こっています。つい最近も、自分の家のバックヤードにいただけの黒人男性が、警察官に撃ち殺されました。【引用:持っていた携帯を銃と間違えられ…黒人男性が自宅の裏庭で警官に射殺される(HUFFPOST)そういう事件がしょっちゅう、本当にしょっちゅう起こっているんです。

貧しいエリアでもそうです。そういう場所には警察官が並んでいて、ドラッグを売っている白人たちが目の前にいても無視するのに、黒人の子ども達は、交通規則を違反しただけで重罪とみなされ、白人の子ども達よりも、何倍も重い罪に問われます。

 

yuzuka:今もまだ、そんなに痛ましい事件が絶え間なく起こり続けている……。そんなニュースに溢れて育つと、心に違和感や自信のなさ、差別意識への恐ろしさが染み付いてしまいますよね……。

正直、想像を絶しました。私はずっと日本にいて、リアルタイムでそんな悲惨な出来事が起こっているなんて、知らなかったから……。

AISHA:だから、びっくりしました。日本でこんなインタビューを受けたことがないから。インタビューというより、こういう話自体をすることがないから。みんな自分と関係なさすぎて、きっと興味なんてないんだろうなって思ってました。

だってずっと日本にいれば、差別なんて経験しなくてもすみますよね。それが普通だと思うんです。

 

yuzuka:そうですね。みんな、きっと想像がついてないと思うんです。どこか、差別なんて良い意味でも悪い意味でも他人事で、遠い場所で起こっているようなイメージがあると思うから。だけどだからこそ、掘り下げるべきだと思ったんですよね。それでどう行動するかもそうですけど、とにかくまずは「知る」ことが大事だと思うんです。

私達が知らない場所で、まだ人種差別は起こっている。その事実を、ちゃんと受け止めてほしい。同時に、そういった気持ちを乗り越えて、今、笑顔で曲を届けているAISHAさんという一人の女性がいるということが、誰かの希望になってほしいです。

AISHA:ありがとうございます。嬉しいです。私は両親が、分かりやすいように説明してくれて、周りにも恵まれていたから、本当にラッキーでした。

ずーっと日本にいて、向こうに行くのは、年に一度、サマーバケーションの時くらいです。だから、辛い思いをすることは少なかった。だけど今も、辛い思いをしている人は確かに存在する。その事実は、確かです。

いつも明るいAISHA(アイシャ)さん。

今回のインタビューで彼女から語られる言葉は、あまりにも衝撃的なことばかりだった。

明るく、誰にでも分け隔てなく愛を与える彼女が、幼いころ、コンプレックスに押しつぶされそうになりながら、部屋に閉じこもっていたことを想像すると、それだけで、苦しい。

 

人種差別は、簡単に語れるものではない。この記事で「どうすべきか」の結論を出すことは、不可能だ。

だけど、彼女の経験や言葉を通し、「蚊帳の外」だった誰かが、一歩だけでも前に踏み出して、考えるきっかけになってほしいと思う。

 

【前編】の最後は、過去にノーベル平和賞を受賞した、ネルソン・マンデラの名言で締めたいと思う。

 

人種差別は魂の病だ。どんな伝染病よりも多くの人を殺す。

悲劇はその治療法が手の届くところにあるのに、まだつかみとれないことだ。

 

この記事が、誰かの心に届くことを祈って。

yuzuka

 

【後編】は、AISHAさんの語る「幸せになる方法」。

太陽のような彼女。彼女が幸せに過ごすために心がけている考え方とは。

 

text/yuzuka 

photo/土田凌

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yuzuka

作家、コラムニスト。元精神科、美容整形外科の看護師で、風俗嬢の経験もある。実体験や、それで得た知識をもとに綴るtwitterやnoteが話題を呼び、多数メディアにコラムを寄稿したのち、peek a booを立ち上げる。ズボラで絵が下手。Twitterでは時々毒を吐き、ぷち炎上する。美人に弱い。

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