ぼんやりした暗がりの中、頭をてっぺんに向けてぐいっと進展する。
そこには中途半端な量の雲と、グレーとブルーが混ざったような、どす黒い空間が浮かんでいた。
その日セックスした相手は5度目の相手で、
彼の家から帰るとき、私は律儀に使用済みのコンドームとティッシュペーパーの入ったローソンの袋を、持ち帰った。
今はそのローソンの袋を、ローソンのゴミ箱に捨てるところ。
どこまでも几帳面というか、変なところだけ、守ろうとするくせがある。
「かれし」みたいな存在は、5、6人。
そのうち「好き」を言い合う相手は、4人。
うち二人は多分私のことだけが大好きで、それ以外は私を含めた「女の子」が、好きな人だった。
帰り道には、公園がある。
大きくて緑色でふかふかしていて、平和で、良い公園だ。
きゃっという声と一緒に、小さな人間が、私にぶつかった。
どすん、と、わりとリアルな音がして、とっさに「ごめんなさい」といった。
ぶつかられたのに謝るなんて、なんだかへんだ。
だけど「なんだか」謝ってしまうから、おかしい。
「ごめんね」
小さな人間は最近習得したであろう言葉を私にむかって発した後、
すぐに背中を向けて、緑のふかふかの上を走り去っていった。
眩しかった。眩しすぎて直視できなかった。
幸せになりたかったはずなのにな、おかしいな、と、思った。
つい最近までは「ああいう未来」を普通に夢見ていて、夢見ていたらちゃんと叶うって、そう思っていたのに。
今ではどこまでも別世界で、どこまでも届かなくて、どこまでも幻だ。ああ、おかしいな。
「結婚」「すきなひと」「こども」「しあわせ」
当たり前のように並べる私よりかわいくないあの子が、あの人が、なんだか憎らしくなった。
だけど思うのは、たしかに思うのは。
なんだかんだ言って「女の子」として、消費期限付きの「好き」をちゃんと与えられる立場でありつづけることのできる
「セフレ」って立場も、悪くないなって、そんなことだった。
幸せに正解はない。
幸せだからって、苦しみや悩みや葛藤がないわけでもない。
私たちはそういう黒いものもちゃんと抱えながら、自分の思う心地よさを大切にしていけば良いって、そう思った。
yuzuka
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