その気持ちは、こんな時に起こった。
ある日のランチタイム、女友達とおいしいご飯を食べた後、
食後の紅茶を飲んでいた。
お店は家族連れやカップルで満員。とても賑わっていて、
だけど席と席の距離は近いので、隣に座っている人の会話は、耳に届いてくる。
そんな場所で彼女は唐突に、昨晩のセックスについての見解を、大声で話し始めた。
男性器の大きさや、どんな部分が良かったか。
あまりにも細かく話すので、私は少しだけ、具合が悪くなった。
横に座っていた女性の二人組が、おそらく会話を耳に入れ、不快感をあらわにした顔を、こちらに向けてくる。
「それ、こんなところで、大きな声で話すことじゃないよ」
私がたしなめると彼女はこう言う。
「セックスやオナニーについて話すことを恥ずかしいと思うのは、おかしいよ。考え方が古い」
それはここ最近ずっとインターネットで目にする「先進的」な考え方のようだった。
また、こんなこともあった。
「いい感じ」だった男性と食事をしている時に突然、「2日後、生理だね」と、問いかけられた。
「どうして知ってるの?」という私に、
「男が好きな人の生理を管理するのは当然だよ。君の生理は僕のカレンダーに記録していて、通知が来るんだ」と説明した。
正直に言うと、鳥肌が立つほどに気持ちが悪かったし、その日を境に、私のその人への一切の興味は失われた。
「気持ち悪いからやめてほしい」という私に彼は、「どうして?今時古いよ。今の時代、生理はオープンなことだよ」と言う。
私は生理が生理現象だと知っているし、「いやらしいもの」とか「隠すべきもの」だとは思わない。
だけど、自分にとってはとてもデリケート部分ではあると思っていて、それについて大声で話されたり、
誰かに管理されることには、不快感を覚えるのだ。
性的なこと(生理は少し違うが)を、公の場所で話されたり話すのは嫌だ。
これはある種の「マナー」だと思っていたが、その考えを彼らは、「古い」と言った。
だけど私はどうしてもそれが、気持ち悪かった。
私にとって最も先進的な考え方は、「セクハラは受け手がセクハラだと感じればセクハラだ」だ。
この考えが以前より広く浸透してきていると思うからこそ、私たちはやりすぎだと思うほどの相手の立場にたって
話題や発言を選ぶようになった。
だけど同じようにその考えを浸透させようと奮闘する人たちが、いざ反対の立場になった時。
例えば「彼氏といつセックスをしたの?」と聞かれて露骨に嫌がる私の不快感を示した表情を「古い」と言う時、
「え、これはどうしてセクハラに値しないの?」と、強く疑問に思うのだ。
アダルトグッズ会社は、「バレンタインデーは同僚に、堂々とアダルトグッズを送ろう」と謳う。
だけど私は、もしも会社の同僚にアダルトグッズをプレゼントされたら、とんでもない不快感を覚えると思う。
女性の性欲が認められるべきだという女友達は、公の場所で「セックスしたい」なんて言葉を平然と叫ぶが、
彼女は上司に「彼氏はいるの?」と聞かれて、セクハラだと泣いた女性だ。
何が違うのか分からなかった。
公の場でセックスについて話すことを「先進的」だと主張する彼女は、
コンビニのアダルト雑誌廃止について、肯定的な意見を持っている。
「アダルト雑誌を見ると、男性に性の対象と認識されていると痛感して嫌な気持ちになる。
見ると不快になるものを、公の場所におくべきではない」と言うのだ。
だけどそんな彼女はバレンタインデーの日、男友達にアダルトグッズを配り、
拒否反応を示した男の子のことを、「古い」と笑い、公の場所で、セクシャルな話題を叫ぶ。
そして私は思ってしまう。
「それは、セクハラじゃないの?」
時代は、変わっていく。
私もできるだけ新しい頭でいたくて、過去の考え方に固執したくはない。
だけど時代が変わろうとする時、
「それは嫌な気持ちになるな」って人の心とか、どうしてそれを今までやってこなかったのかって、
そういう時代的な背景の部分とか、そういうのを露骨に無視して「これが新しい!」と押し付けるのは、
やっぱり間違っているって思うんだ。
多様性や権利が認められはじめたこの世の中だからこそ、
「嫌だ」って思う人の権利も尊重されてほしい。
全ての人が同じ考えではないし、同じように生きてきてはいないから、
感じ方や捉え方が違うことを、ちゃんと理解して、認めてほしい。
新しいことだけが正義だなんて、全てをオープンにすることだけが正義だなんて、
私はやっぱり、それは違うなって、言い続けたいって思うんだ。
yuzuka
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