考え方

昼ドラ好きのそこのあなたに見てほしい映画『女王陛下のお気に入り』のレビュー考察

2019年7月26日

少し前、メディア絶賛の声で話題となった『女王陛下のお気に入り』という映画をご存知でしょうか。

何者入りで日本へ上陸したこの映画ですが、私も当時映画館で見まして、意外中の意外だったこととドロドロ感がとても面白かったのを覚えています。(見たらわかる)

 

ということで、今回は実際に映画「女王陛下のお気に入り」を鑑賞してみての感想や考察、そしてあらすじなどをレビューしていきたいと思います。つまりネタバレは注意!

とくに昼ドラ好きの女性にみてほしいです。どうぞ。

 

目次

『女王陛下のお気に入り』とはどんな映画?

『女王陛下のお気に入り』は、2018年ベネチア国際映画祭にて審査員大賞を、そして出演女優のオリヴィア・コールマンが女優賞を受賞し、W受賞を果たした話題の宮廷歴史映画となります。

アイルランド・アメリカ・イギリスの3ヵ国が協力し作られた、とても大規模な映画だったのです。

 

ストーリーはどんなもの?あらすじを簡単に解説

舞台は18世紀初め、フランスと交戦中のイングランドでは女王アンという女性が頂点に立っていました。

しかし、実際に国の政治を動かしていたのは、彼女の幼馴染である女官長のレディ・サラという人物。つまり女王というのは形だけだったのです。そこへサラの従妹であるアビゲイルが召使として働くことになり、事態は大きく変わっていきました。

 

寂しがり屋で孤独な女王の心を掴もうと、宮廷の中の様々な出来事でぶつかるサラとアビゲイル

三人の女の心は揺れ動き、傾き、やがて、アン女王は二人のどちらを傍に置いておくか、究極とも言える決断をするのです。そして女王を取り合う争いは収束したかと思ったのですが

 

監督やキャスティングは誰?

監督には『聖なる鹿殺し』などで話題となった鋭く繊細な視点をもつ奇才・ヨルゴス・ランティモス。

また、物語の中心となる三人の女優には、同監督作品『ロブスター』にも出演しているオリヴィア・コールマン、『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』などで名の知られるレイチェル・ワイズ、近年作品では『ラ・ラ・ランド』などで人気を博したエマ・ストーンが起用されています。

この方々が、愛憎渦巻く宮廷絵巻を描き上げるんですね。

 

『女王陛下のお気に入り』を見る前と見た後の感想を

私は映画を見る前、「豪華絢爛な宮廷」と「女性たちの争い」のギャップがいかほど激しいのだろうかと想像し興奮していました。

ただ実際見た後の感想というと...。

 

ということで、次は映画を「見る前」と「実際に見た後」の感想を正直に書いていきます。

 

映画を見る前の印象、イメージは?

映画の公式ページには『英国版大奥』とまで書かれている本作。

大奥と言えば、身分と立場の違うそれぞれの女性たちが愛憎渦巻く争いを繰り広げた場所、というイメージです。

 

しかし、ヨーロッパの宮廷というと派手で豪華で煌びやかなイメージがあるため、私的にはそこまでドロドロはしていないんじゃないか?実際は煌びやかなお城やドレスなどに目を奪われて、その印象は薄いのではないか?などと思っていました。

そう思いますよね。

 

実際見た後の感想。どんな後味?

実際に映画を見てみたところ、宮廷の豪華な装飾などはその通りもちろん表現されていますが、それよりも「人間関係」の複雑さが主という感じでした。

これが見た後も脳裏へ余韻としてへばりついています。

 

宮廷が舞台となると、男女間の恋愛模様が定番だと思いますが、この『女王陛下のお気に入り』においては、男たちはほとんど蚊帳の外。

まさに宮廷版大奥の名前に相応しい、『女の争い』が繰り広げられます。

 

そして、これは一体、誰が『勝った』のだろう、と考えさせられる後味のエンディング

俗っぽい言い方になってしまうかもしれませんが、これは昼ドラ好きの女子にもなかなか好まれるのではないか?と思ってしまいました。

 

『女王陛下のお気に入り』は何を表現しようとした映画なのか?考察してみた

感想を重点的に書いてきましたが、ここからは少し考察の視点になってストーリーを紐解いていきます。

あの場面のあの表現は一体何を表していたのか?ここでは気になった3つの点に絞って主に考察していきます。

 

アン女王の癇癪(かんしゃく)は支配階級の孤独を表現した?

鑑賞していると感じるのですが、アン女王はわがままでもありますが、同時にとても寂しがりやに見えます。

持病の通風が痛むたびにサラを横に呼び傍に置かせたり、サラが自分に注目していないと感じると癇癪を起こし床に転がったりする場面は、まるで愛を求める子供のようです。

 

女王は孤高にして唯一の存在ですが、孤高というのは同時に孤独でもあります。

また劇中でアン女王は亡くした17人の子供の代わりに、17羽のウサギを飼い、まるでわが子のように可愛がっています。

 

『ウサギは寂しいと死んでしまう』そんな言葉が一説にはあります。

寂しがり屋のウサギを可愛がるアン女王もまた、寂しさに満ちて誰かを求めていることを表しているのではないでしょうか。

 

鴨撃ちのシーンは形勢逆転を表している?

作中ではサラとアビゲイルが遊戯として、銃で鴨を撃つシーンが出てきます。

最初の方では女王とサラの秘密について口を滑らせたアビゲイルが、サラに胸を撃つ真似をされるのですが、物語が進み女王の寵愛がアビゲイルに傾いていくと、アビゲイルの撃った鴨の血がサラの顔にかかります

 

このシーンは仕留めた鴨を相手に見立て、現在、サラとアビゲイルのどちらが有利なのかを表現しているのではないでしょうか。

自分の方が上に立っているというのを相手に思い知らせている、こんな風に感じました。

 

女だけにスポットを当てた理由は?

本作に男性も登場はするのですが、男性陣はそこまで目立っていません。

劇中でアビゲイルは一目惚れされた相手であるサミュエルと結婚するのですが、その後も夫を殆ど相手にすることなく、女王の方を気にかけます。

 

サミュエルと結婚したことにより上流階級に戻れたという点も含めて、男を利用して生きていける女たちの強さや、したたかさ、それに付随する悪女的美しさを表現したかったのではないか、と思います。

見た方どう思いますか?あってます?

 

まとめ:『女王陛下のお気に入り』はもちろん見るべき

ここまで様々な点から『女王陛下のお気に入り』について書いてきましたが、見るべきかと聞かれたら、もちろん是非観てほしい作品です。

特に女性なら、ああ、こんな女同士の争いあるよね、と共感できる点も見つけられて更に楽しめるのではないでしょうか。お一人でも、女友達と一緒でも、気になったら是非鑑賞してみてください。

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meino

平成の冬生まれ。オフィスワークや接客業などに就き社会の歯車を回しつつ、エンタメ・サブカル・アングラ系コンテンツへの興味が膨らみすぎて文字を書き始めたライターです。社会勉強と称して珍しいイベントやコンテンツの体験に勤しみつつ、記事やレビューを書いています。

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